「東京ベルリン/ベルリン東京展」

午前中に仕事を片付け、東京六本木の森美術館に「東京ベルリン/ベルリン東京展」を見に行く。3時すぎに到着。この美術館に入るのは始めてだが、フリッツ・ルンプがらみで、いろんな意味で楽しみにしていた展示会だ。 http://www.mori.art.museum/html/jp/index.html

入ってすぐ、「ベルリンー東京1880−1914・異国趣味と近代の意識」のブース。壁面のパネルに、ルンプが次のように紹介されている。

ローヴィス・コリントの家族の肖像に描かれている青年フリッツ・ルンプは、長年東京に住み、のちにドイツにおける屈指の日本研究者となった

ローヴィス・コリントの大きな油絵「フリッツ・ルンプ家」の製作は1901年、ルンプが生まれたのが1888年、12歳のときで、左下に描かれた少年に間違いない。当時有名な画家であった父親は、同じフリッツ・ルンプと名乗っていたから、知人のコリントが描いたものである。キャプションの「青年」は間違いである。
そして、ルンプが描いたスケッチブックが2点展示されている。和綴じのスケッチブック、1冊には昇天童子などの歌舞伎の顔スケッチ、もう1冊は熊本紙人形などを描いたスケッチ、ともに1915年の製作とある。1915(大正4年)、ルンプは第一次世界大戦の日独戦争のときチンタオで俘虜になり大分俘虜収容所にいた。そこで描いたものである。その後、習志野俘虜収容所に移され、5年あまり俘虜時代が続いている。やはり、キャップションの「長年東京に住み」というのは、正確ではない。図録にはルンプの詳しい略歴もなく、残念な気がする。
ルンプの師であった、エミール・オリルクの版画(1901年)が3点、パリで会った小林万吾の作品「物思い」(1907年)、別のブースには、工芸美術館付属学校の後輩であり、オリルクに学んだハナー・へーヒ、ジョージ・グロスのたくさんの作品。ルンプが序文を書いた、名取洋之助の『大日本』も展示されていた。
5時に出口で待ち合わせていた、高知大学のS先生と会い色々教えていただきながらもう一度展覧会を見る。
そのあと地下鉄で有楽町。ドイツ家庭料理の店「バーデン・バーデン」で、一年半ぶりの再会の乾杯!途中から駆けつけてくれた習志野のH氏も加わり、ルンプやその時代の四方山話、ベルリンのK女史、ミュンヘンのK女史、四国のKさんの噂話。みなさん、きっとくしゃみが止まらなかったことでしょう?
10時ごろ散会、11時すぎ帰宅、充実した一日を過す。

 「バーデン・バーデン」にて