2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

小松伸六ノート㉖  山本有三と小松伸六

山本有三(やまもとゆうぞう 1887~1974) 山本有三といえば、幾度も映画化された『路傍の石』が思いだされる。 山本は、今の栃木県栃木市生れ。東京帝大独文科再学中に、豊島与志雄、菊池寛、芥川龍之介、久米正雄らと第三次「新思潮」で戯曲家としてデビュ…

小松伸六ノート㉕ 女性作家と小松伸六 その2

幸田文(こうだあや 1904-1990) 作家幸田文といえば、幸田露伴の次女として知られている。昭和22年の露伴の没後、父を追憶する文章を続けて発表、注目されるところとなり、昭和29年、『黒い裾』により読売文学賞を受賞する。昭和33年には、早くも『幸田文全…

小松伸六ノート㉔ 女性作家と小松伸六 その1

平林たい子と円地文子 今回取り上げる、平林たい子と円地文子の2人は同じ年の生れ、そして親友でもある。よって、1冊の文学全集には2人の名前が並ぶことも多く、小松伸六はそれらに解説を寄せており、最初に、この2人について触れたい。 平林たい子(ひらば…

小松伸六ノート㉓  大衆文学作家と小松伸六 その3

子母沢寛(しもざわ かん、1892~1968) 子母澤寛は、小松伸六と同じ北海道生まれの作家で、厚田郡厚田村(現・石狩市)の出身。小松が残した『北海道新聞』の切り抜きに(掲載日不明)、「透徹した史眼「勝海舟」―子母澤寛氏の作品」がある。「私は東京生ま…