2021-01-01から1年間の記事一覧

『北方人』第37号刊行しました

『北方人』第37号を、半年ぶりに刊行しました。今号は、多くの力作があり、はじめて60ページの雑誌になりました。 ――目次―― 時評/最新ドイツベストセラー小説――――――――――――― 大木 文雄(2) 創作/昭和十年生れは損をする(7)――――――――――――――― 通 雅彦(9) …

小松伸六ノート㉚ 井上靖と小松伸六(補遺)

井上靖『樓門 他七編』(角川文庫)の「解説」について 今年の2月25日に、「小松伸六ノート⑰ 井上靖と小松伸六」を書いたが、これもその補遺。(https://kozokotani.hatenadiary.org/entry/2021/02/25/130551) 小松伸六が、昭和31年に角川文庫から出た井上…

小松伸六ノート㉙ 源氏鶏太と小松伸六(補遺)

源氏鶏太と小松伸六(補遺) 今年の2月14日に、「小松伸六ノート⑮ 源氏鶏太と小松伸六」(https://kozokotani.hatenadiary.org/entry/2021/02/14/164325)を書いたが、その後ご遺族からお借りした大量の切り抜きのなかに、未見であった、『源氏鶏太自選作品…

企画展「没後15年 文芸評論家・小松伸六の仕事」開催中

釧路文学館での、企画展「没後15年 文芸評論家・小松伸六の仕事」、コロナに負けず開催中です。7月31日からはじまり、10月24にまで。期間中、様々な関連イベントがあります。 9月12日(日)は、郷土史家によるトークイベント「北大通の記憶を伝える」と題し…

企画展/「没後15年 文芸評論家・小松伸六の仕事」が釧路文学館ではじまります

企画展/「没後15年 文芸評論家・小松伸六の仕事」が釧路文学館ではじまります。 釧路出身の文芸評論家・小松伸六について、同人雑誌との関わりや作家たちとの交流を中心に紹介されます。時節がら、企画展、イベント等が変更になる場合があります。お問い合…

『没後15年  文芸評論家・小松伸六の仕事』刊行 

7月31日より3ヶ月間、評論家・小松伸六の生れた釧路の、釧路文学館で「没後15年 文芸評論家・小松伸六の仕事」展が開催されます。 その企画展に合わせて、同人誌「北方人」を刊行する北方文学研究会では、『没後15年 文芸評論家・小松伸六の仕事』を刊行しま…

小松伸六ノート㉘ 小松の文庫「解説」その2

・直木賞作家藤原審爾、黒岩重吾と小松伸六 直木賞受賞作家の文庫「解説」については、すでに川口松太郎、源氏鶏太、新田次郎、城山三郎、司馬遼太郎、水上勉、五木寛之、渡辺淳一については触れたが、今回の作家は『罪な女』で第27回直木賞を受賞した藤原審…

小松伸六ノート㉗  小松の文庫「解説」その1

―小松伸六文庫解説一覧― 文芸評論家としての小松伸六の「文庫」解説は、確認できただけで、2021年6月現在、154冊を数える。一部、すでに紹介したものがあるが、その詳細は次のようになる。 【注】再版、改訂版の解説は、現在同名で刊行されているものには、…

小松伸六ノート㉖  山本有三と小松伸六

山本有三(やまもとゆうぞう 1887~1974) 山本有三といえば、幾度も映画化された『路傍の石』が思いだされる。 山本は、今の栃木県栃木市生れ。東京帝大独文科再学中に、豊島与志雄、菊池寛、芥川龍之介、久米正雄らと第三次「新思潮」で戯曲家としてデビュ…

小松伸六ノート㉕ 女性作家と小松伸六 その2

幸田文(こうだあや 1904-1990) 作家幸田文といえば、幸田露伴の次女として知られている。昭和22年の露伴の没後、父を追憶する文章を続けて発表、注目されるところとなり、昭和29年、『黒い裾』により読売文学賞を受賞する。昭和33年には、早くも『幸田文全…

小松伸六ノート㉔ 女性作家と小松伸六 その1

平林たい子と円地文子 今回取り上げる、平林たい子と円地文子の2人は同じ年の生れ、そして親友でもある。よって、1冊の文学全集には2人の名前が並ぶことも多く、小松伸六はそれらに解説を寄せており、最初に、この2人について触れたい。 平林たい子(ひらば…

小松伸六ノート㉓  大衆文学作家と小松伸六 その3

子母沢寛(しもざわ かん、1892~1968) 子母澤寛は、小松伸六と同じ北海道生まれの作家で、厚田郡厚田村(現・石狩市)の出身。小松が残した『北海道新聞』の切り抜きに(掲載日不明)、「透徹した史眼「勝海舟」―子母澤寛氏の作品」がある。「私は東京生ま…

小松伸六ノート㉒ 大衆文学作家と小松伸六 その2

大衆文学作家と小松伸六 その2 吉川英治、川口松太郎 吉川英治(よしかわ えいじ 1892~1962) 大衆文学に新境地を開くものとして圧倒的な読者を得、国民文学的な作家の一人とされた吉川英治。小松伸六は、昭和42年7月刊『吉川英治全集』(旧版、全56巻、講…

小松伸六ノート㉑ 大衆文学作家と小松伸六 その1

大衆文学作家と小松伸六 その1 大衆作家の大御所である大佛次郎についてはすでに触れたが、小松伸六が文学全集や文庫に残した「解説」を中心に、大衆文学作家との関係に触れていきたい。 小松が大衆作家の文学全集の「解説」をはじめて手掛けたのは、昭和28…

小松伸六ノート⑳ 石坂洋次郎と小松伸六

石坂洋次郎と小松伸六 昭和30年から40年代、『青い山脈』をはじめとする青春小説が大ベストセラーになり、映画化され、多くの若い人たちに読まれ続けた石坂洋次郎(1900~1986)。石坂は、昭和8年『三田文学』に「若い人」の連載をはじめて評判になり、11年…

小松伸六ノート⑲  石川啄木をめぐる2人の女性

「小奴」(近江じん)と「梅川操」(小山操) 小松伸六の生れた北海道釧路は、当時23歳の歌人石川啄木(1886~1912)が、明治41年1月21日からわずか76日間彷徨した街である。啄木がこの「最果ての街」で出会った、2人の女性がいる。1人は、歌集『一握の砂』…

小松伸六ノート⑱ 東京新聞「大波小波」への寄稿

東京新聞「大波小波」の匿名子「兼愛」は小松伸六か! 『東京新聞』夕刊のコラム「大波小波」と言えば、前身の都新聞に端を発していて、80年以上も匿名批評として、時には様々な話題を文壇に投げかけ、いまも連載を続けている。小田切進編『大波小波・匿名…

小松伸六ノート⑰ 井上靖と小松伸六

井上靖と小松伸六 井上靖(1907-1991)は、北海道旭川市生れ、京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、昭和25年2月「闘牛」で芥川賞を受賞している。受賞直後、金沢の第四高等学校で教師をしていた小松伸六は、井上…

小松伸六ノート  ちょっと寄り道⑤

文芸評論家佐伯彰一とのこと 佐伯彰一(さえき しょういち、1922~2016)と言えば、文芸評論家として、日本のアメリカ文学者として、あるいは世田谷文学館館長、三島由紀夫文学館初代館長として知られている。しかし、佐伯の後年の昭和、平成時代に残した多…

小松伸六ノート⑯ 水上勉と小松伸六

水上勉と小松伸六 昭和36年7月、『雁の寺』で 第45回直木賞を受賞、弱者に向けられた温かいまなざしで数多くの作品を執筆し、昭和を代表する人気作家といわれた水上勉(みずかみ つとむ 1919~2004)。小松伸六は、文芸評論家としてその生涯を見続けていた。…

小松伸六ノート⑮ 源氏鶏太と小松伸六

源氏鶏太と小松伸六 文芸評論家小松伸六の残した仕事を追うなかで、一番驚いたのは源氏鶏太(げんじ・けいた、1912-1985)の文庫に寄せた「解説」の多さである。その数20冊に及ぶが、まだ確認できないものがあるかも知れない。源氏鶏太は、昭和26年に「英語…

『三上於菟吉再発見ー生誕130周年記念誌』が刊行されました

2月4日は、『雪之丞変化』の作者三上於菟吉が生まれた日で、生誕130年を迎えました。三上が生まれたのは、今の埼玉県春日部市、そこに三上於菟吉顕彰会が発足、このほど生誕130年を記念して、『三上於菟吉再発見ー生誕130周年記念誌』が刊行されました。小生…

小松伸六ノート⑭ 城山三郎と小松伸六

城山三郎と小松伸六 経済小説の開拓者といわれ、いまでも多彩な作品は多くの読者をひきつける城山三郎(1927~ 2007)。城山は、小松伸六の13歳下だったが、その作家としての出発から、不思議な長い交友関係にあり、城山文学を語り続けた。小松伸六は、城山…

小松伸六ノート⑬ 新田次郎と小松伸六

新田次郎と小松伸六 「昭和三十年代の日本の文壇に三つの事件があった。一つは松本清張を頂点とする推理小説の流行、一つは城山三郎を先覚者とする経済小説の出現、そして一つは新田次郎を、そのフロンティアズ・マン(開拓者)とする山岳小説の登場である」…

小松伸六ノート⑫ 五木寛之と小松伸六

五木寛之と小松伸六 昭和42年1月、『蒼ざめた馬を見よ』で第56回直木賞受賞した五木寛之(1932年~)に、小松伸六が初めて出会ったのはいつかわからないが、小松は「私は五木さんに三度ほど会ったことがある。親しくしゃべったのは、「小説現代」の文学風土…

小松伸六ノート⑪  渡辺淳一と小松伸六

渡辺淳一と小松伸六 小松伸六が、北海道生まれの直木賞作家渡辺淳一(1933~2014)を知ったのは、昭和39年から『北海道新聞』の「道新秀作評」を担当していた時であった。この年下半期の道内同人誌秀作で渡辺淳一の「華やかなる葬礼」に評価を与えた。その作…

小松伸六ノート⑩   深田久弥と小松伸六

深田久弥と小松伸六 小松伸六が、『日本百名山』の著者として知られる深田久弥(1903~1971)と出会ったのは、深田が、昭和21年夏に中国大陸から復員し郷里石川県大聖寺町(現加賀市)に移り住んでいたころであった。当時金沢大学の教師をしていた小松は、深…

小松伸六ノート⑨ 松本清張と小松伸六

松本清張と小松伸六 小松伸六が、昭和28年に『或る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞した松本清張(まつもと せいちょう、1909~1992年)の作品解説をはじめて書いたのは、昭和34年5月刊の『松本清張選集/時代小説・啾々吟(しゅうしゅうぎん)』(東都書房)で…

小松伸六ノート⑧  太宰治と小松伸六

太宰治と小松伸六 今も多くの人たちに読み続けられている太宰治(だざい・おさむ、1909~1948)は、40歳で心中自殺するなど波乱の人生を送った作家だが、小松伸六は昭和15年秋に、そんな太宰治の三鷹の家を太宰の中学時代からの友人阿部合成(1910~1972 画…

「パルコ文化を創った八人の装丁本展」

えっ!古本屋で展示会?/第四弾 「パルコ文化を創った八人の装丁展」 京都・10月16日(金)~18日(日)左京区Books Herrinng 東京・11月8日(日)~23日(月)西荻窪 モンガ堂 『北方人』に書誌を連載するかわじ・もとたか氏が「えっ!古本屋で展示会?」…