亀井志乃『〈緑人社〉の青春』

今日はクリスマスイブ。思いがけず、うれしいクリスマスプレゼントが届いた。近代文学研究者亀井志乃さんの『〈緑人社〉の青春ー早川三代治宛の木田金次郎・高田紅果書簡で綴る大正期芸術運動の軌跡』である。市立小樽文学館内にある小樽文学舎が小樽文学館叢書第2巻として刊行したもの。http://otaru-journal.com/2011/12/1223-4.php
早川三代治(1895〜1962)は、北大を卒業、経済学者で作家でもあった。昭和17年、作家として根釧原野の開拓者を描いた『処女地』を刊行し、その後「土と人」シリーズを刊行している。小説家としての早川を知ってはいたが、『処女地』の根底には、若き日の精神が反映されているかも知れない。
もうひとつ、私にとって興味深いのは、年譜を見ると早川が大正5年にドイツ・ボンに留学していること。さらに大正12年にはドイツ・ベルリン大学の哲学科に転じていることである。私が追っているドイツのフリッツ・ルンプは、当時日本美術・文化研究者としてベルリン大学に出入りし、大正14年にはベルリン大学で学んでいる。日本通のルンプが、留学生である早川を知っていたのではないかということである。まだ『〈緑人社〉の青春』を詳しく読んでいないが、なにか発見できるかも知れない。