色川大吉『民衆史ーその100年』を読む

2月になった。故郷北海道は、まさに「シバレル」という一番寒い季節を迎える。それでもこちらはまだ暖かく、今日の埼玉は一日雨。こんな時は気分を替えるのが一番。午前中、「北方人」第8号にそえる10数通の手紙を書く。書き終わって、傘をさしながら歩いて近くの郵便局へ行き、発送。読んでくれたひとたちから、どんな反響があるか楽しみ!
帰りに、ブックマーケット春日部店に寄る。家から一番近い本屋。ただこの新古書店、漫画やゲームが多く一般書が少ない。店の方針なのか均一本(つまり100円本)は、わざわざ帯をはずして捨て棚に入れたものが多く、プロパーの文庫なども背が焼けていてあまり買う気がしない。まあ、10回行って、2、3回欲しいものに出会うっていう感じ。
プロパーの文庫棚から色川大吉『民衆史ーその100年』(講談社学芸文庫)を抜く。2日前、戦後の日記を辿った『廃墟に立つ』(小学館)を読み始めていたので気になって入手(ただ、棚を間違えたのか105円の値が付いていた)。
仕事の後、夜になって少し読みはじめたら、冒頭から「新たな民衆像の創出をーーオホーツク民衆史講座に寄せて」が出てくる。北海道開拓の陰には、民衆にも多くの人たちの犠牲があったことが記されている。この本、宮沢賢治深沢七郎江戸川乱歩などの文学者が頻繁に登場、いたって文学的でもある。秩父事件を追い続ける人と思っていたが、実は、民衆史を確立し、自分史という分野を生み出した現代の語り部であったと、あらためて知ったのである。
色川大吉の本は外にも書架に埋もれているはず。探し出して再読しようー。