『一寸』第52号のことなど

もう12月、今年もあと少しとなった。11月末締め切りの、ある文学事典の大量の原稿をようやく送ることが出来、ホッとしている。
昨日、わが町春日部図書館が、3ヶ月のリニューアル工事を終えて、ようやくオープンした。調べ物で苦労していたがー。行ってみると、図書館の前で本のリサイクルをやっていた。ふと見ると、『日本近代文学大事典』の数冊が目に入る。いつも、図書館で見ているのだが、全6巻あればと思い探す。ばらばらに置いてあるのだが、何とか5冊を見つけたが、なぜか第1巻がない。ずいぶん探したが見つからなかった。ほかに、演劇関係者の本が多い。見たことのない饅頭本、回想録など。それも雑誌『戯曲春秋』(これは佐々木武観が始めた雑誌、ある文学事典に書いたばかり)数冊があった。本のリサイクルには、市民からの本の寄付もあったので、この町に演劇関係者がいると思われるが、その名はわからない。
岩切信一郎氏から、『一寸』第52号が届いた。氏の「この夏秋、あるいは和田英作の装丁活動若干」があり、伊上凡骨がかかわったものが、1点紹介されている。
・東京日々新聞社会部編『戊辰戦争』、昭和3年5月、萬里閣書房
 表紙装丁・伊上凡骨復刻/北斎「冨獄三十六景・山下白雨」
また、和田英作関係の資料が遺族から鹿児島市立美術館に寄贈され、その調査の報告として、未定稿だが「和田英作文芸書装丁」があり、伊上凡骨がかかわったものが2点載っている。いずれも未見で、私の『木版彫刻師 伊上凡骨』には収録していない。
・前田林外『花妻』、明治39年6月、如山書店
 伊上凡彫刻/表紙・和田英作「幻花」、挿絵・アルマタデヤ筆「ホーメロス朗読」
・雑誌『半面』4期3号、明治39年2月
 表紙・和田英作画/伊上凡骨彫刻
である。伊上凡骨がかかわった著書や雑誌は、これからも数多く出現することだろう。まずは、新しい発見を、岩切信一郎氏に感謝申し上げたい。