中戸川吉二「イボタの虫」

朝から仕事で、池袋の先にある大山に出かける。2時過ぎに仕事が終わり、帰り道、北千住の紀伊国屋書店に寄る。
この1ヶ月ほど探していた、中戸川吉二の「イボタの蟲」が収録されている「脳を鍛える大人の名作読本」シリーズ,第14巻『イボタの虫・忘れえぬ人々』(くもん出版)を見つける。B5版と意外に大きい。100ページと、思っていたよりも厚い。大活字のせいもあるが、なんと新刊で600円+税である。それよりも、名作読本として芥川龍之介「春の夜」、国木田独歩忘れえぬ人々」とともに、中戸川の作品が名作として取り上げられたことがうれしい。


「脳を鍛える大人の名作読本」シリーズ,第14巻『イボタの虫・忘れえぬ人々』(くもん出版)

昨年1月には、詩人荒川洋治氏が編集長となって、新潮社から『新潮創刊100周年・通巻1200号記念 名短篇』が、刊行された。これは,文芸誌『新潮』の創刊100年を記念して、これまでの1万を越す短編のなかから、森鴎外の「身上話」など38編を選んだアンソロジーである。そこに、中戸川吉二の「寝押」が収められた。短篇に限定されているが、戦前18編、戦後20編のなかに選ばれた。これもすごいことである。
この2つの出来事は、まさに中戸川文学の復活を意味するものといえる。
ちなみに、拙著『中戸川吉二ノート』は品切れです。ネットで探すと売っている古本屋あります。

 盛厚三中戸川吉二ノート』(平成6年)

その後、北千住、梅島の「ブ」にも寄る。『ダリ展』『ロバート・メイプルソープ展』の図録を均一で。横光利一旅愁(上)』(講談社文藝文庫)を210円で入手。