フリッツ・ルンプと山田耕筰

「サンパン」同人のS氏から、フリッツ・ルンプについての貴重な連絡をいただいた。「フリッツ・ルンプ物語(1)」(『サンパン』第9号、2005・1)に、ドイツで開催された「フリッツ・ルンプ展」の図録にドイツベルリンで会った日本人「Terauchi kinichi」なる人物の写真があり、色々調べたが全くわからず、この人物は何者かと書いた(下の写真)。

S氏から、この人物にそっくりな人がいると、写真を送ってくださったのだ(次の写真の上の人物、下が山田耕筰)。

出処は作曲家山田耕筰の伝記『この道 山田耕筰伝記』(1982年刊)。どう見ても同一人物。S氏によれば、この写真のキャプションには「ドイツ留学直前、想い出の神戸を旅した」ころとあるが、関学時代の親友ではないかという。ルンプの書簡には、「Terauchi kinichi」を神戸に訪ねたことが書かれているが、この地に深いゆかりのある人物である。山田耕筰の自伝を読んだことがあるが、そこには出てこなかった気がする。いま、県立図書館から『山田耕筰著作全集』全3巻を取り寄せているので、詳しく調べると新しい発見があるかも知れない。もしかして、ルンプはドイツベルリンで山田耕筰と「Terauchi kinichi」を通して面識があったかも知れない。貴重な連絡をいただいたS氏に感謝。『サンパン』が休刊中のため、「フリッツ・ルンプ物語」が中断されているが、『北方人』で再開したく思っている。