追悼、鳥居省三先生

朝、北海道釧路の『北海文学』主宰であった鳥居省三先生が亡くなったと、訃報がはいった。
昨年秋に帰郷したときご自宅を訪ねたが、いたってお元気で、近況を話してくれた。お元気になられて、また活躍していただけたならと思っていた。
先生のお姿を初めてみたのは、高校生のころ。旧市役所を図書館の分室として使っていたころだから、もう三十年以上前の話。天井に高い黒光りする自習室で見かけた、ベートーベンのようなムシャムシャ頭のひとが、館長をされていた鳥居先生だった。作家の原田康子さんらと、文学論を戦わしていたのは、その少し前のころだろう。
その後、縁あって『北海文学』の同人になって欲しいと便りがあり、その末席にすわらしてもらったが、原稿を送るたびに励ましてくれた。『北海文学』は同人誌の最古参になったが、これで先生の灯が消えるわけではない。その残したものは、あまりにも偉大であったからだ。謹んでご冥福をお祈り致します。
釧路新聞』から、コラムの連載紙が届く。次回は鳥居先生のことを書く予定。

 鳥居省三『異端の系譜』(昭和58年)

昼は、暖かくさわやかな感じだったので、隣町まで鳥居先生のことを色々思い出しながらサイクリング。せんげん台「ブ」と、ちょっと離れた「ブックマーケット」に行く。特集「松本清張の東京」のある『東京人』、文庫3冊を買う。その1冊は、あの巷で話題の佐野繁次郎装丁による五木寛之『風に吹かれて』(集英社文庫)であった(なかはずーと昔に読んだのだが、すっかり忘れている)。装丁で本を買うのも楽しい。