伊上凡骨編『思ひ出艸』

伊上凡骨研究をはじめて、私にとって幻の一冊であった『思ひ出艸』が出現した。『版画事典』の「伊上凡骨」の項に「著書に『思ひ出草』がある」と記されており、国会図書館にもなく長い間探していたもの。3月に出す『木版彫刻師 伊上凡骨』には、全く確認できなかったので割愛していた。オークションに登場し、無事落札したが、まだ手元に届いていない。

そこには、和田英作「秋」「恋衣」、藤島武二清見寺」「花見」、小林萬吾「花の香」「飼餌」が、収録されているという。武二の「清見寺」は、当時の『明星』に載っていたらしい。6点の版画は、全てはがき大で、明治38年7月20日印刷 8月1日発行、編輯所・井上研究室 発行・金尾文淵堂という。いま校正中の『木版彫刻師 伊上凡骨』に間に合ったが、まるでクリスマスプレゼントのような感じがする。