和田芳恵『順番が来るまで』を読む

先日、ブで古い本だが単行本で出た和田芳恵『順番が来るまで』を手に入れた。この本はじめて読む。和田芳恵は北海道出身の作家。昭和52年に亡くなって、その後に出た最後の随筆集。生い立ちが詳しく書かれている。また、文壇話もおもしろい。原田康子さんのことも出てくる。この本、講談社文芸文庫として出ているのを知らなかった。

岡崎武志さんが、今日のブログで拙書『「挽歌」物語ー作家原田康子とその時代』を、暖かく評してくださった。ありがとうございますhttp://d.hatena.ne.jp/okatake/

今朝は盛厚三『「挽歌」物語』釧路新書を、ガシガシとラインを引きながら、一挙に読む。おもしろかった。素人といっていい若い主婦が書いたガリ版同人誌連載の小説が、あれよあれよとベストセラーに。著者の原田康子はときの人となる。その背景を、当時の週刊誌、雑誌、新聞広告などをもとに、映画化騒動も含め叙述していく。非常に篤実な仕事で、しかも読み易い。「北方人」さんと、ぼくらは意識している著者が釧路出身で、映画のロケも少年時代に見ている。そんな郷土愛と、原田康子への優しい視線が全編を覆い、これは釧路へ行きたくなりますね。資料の使いかたという点でも、この「一箱古本市」でもおなじみの大先輩から学ぶところ多かった。ぼくの持っている『挽歌』が、初版(なんと一万部)が売れに売れて、あわてて出した函入り新装版であることもわかった。ぼくはこれを「あった、あった。」で取り上げている。
釧路新書、というローカルで目立たない刊行環境であるのが惜しい。ぼくも書評しそこねた。申しわけない。

おかげさまで、この本釧路文学賞特別賞を受賞し、5月19日は授賞式のため釧路へ帰る。航空券も買ってあるので、少しゆっくり過ごしてくる予定。そんなわけで、残念ながら同日に開催される「みちくさ市」には参加できません。体が2つあればと思うこの頃です。