「釧路湿原の長谷川光二」について2題

長谷川光二というひとについては、知らない人が多いと思う。先日、山に詳しい人たちにあったが、『ヒマラヤの旅』を出した長谷川伝次郎の弟というと、驚いていた。http://kotobank.jp/word/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E4%BC%9D%E6%AC%A1%E9%83%8E
志學社が「釧路湿原の長谷川光二」を詳しく紹介してくれました。
http://www.shigakusya.net/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E5%85%89%E4%BA%8C/

釧路湿原の長谷川光二」  ― 日本のソロー ―
著者 伊藤 重行、大木 文雄、 盛 厚三 
サイズ:A5判・198ページ
発行日 2012年7月20日
ISBN:9784904180198
定価:2,100円(2,000円+税)

釧路湿原のある北海道・道東、北海道阿寒郡鶴居村チルワツナイ(「たくさんの丹頂鶴が棲む沢」という意味)で、その人物を知らない人たちが変人、奇人といっていたが、実は優れた思索者、俳人、牧場経営者であった長谷川光二という人物を中心に扱っている。
森の中に、こんなにすばらしい人物、家族が住み、そこのチルワツナイという聖地をカッコーの巣のようにして世界に飛び立っていった歴史的事実があった。
長谷川光二は明治32年東京日本橋の老舗長谷川箪笥店の次男として生まれ、東京高等商業学校(現一橋大学)卒業間近の大正12年に関東大震災に遭い、家業や学業成果を含む多くのものを失い、兄弟3人で北海道開拓に加わることになる。昭和3年釧路の鶴居村チルワツナイに家族を伴い入植した。
昭和50年に没するまでの長谷川光二の生活、思索、作品、交友などに関して、19世紀アメリカで著名なH. D. ソローのウォールデンの森での生活、20世紀前半、北ドイツの悪魔湿原でのハインリヒ・フォーゲラーの芸術活動などと対比しながら伊藤、大木および盛の各々の著者が詳しく紹介している。
釧路湿原の奥深くに、今は誰も棲まない長谷川の家と牧場は存在している。その形として残るものと、長谷川光二の精神を知る機会をこの一冊は与えてくれている。

著者紹介
伊藤重行(Shigeyuki Itou)
1943年 北海道鶴居村生まれ 。現在 九州産業大学経済・ビジネス大学院教授、俳誌『あまのがわ』会員、釧路新聞「巷論」寄稿者、経済学博士、政治学博士、藍綬褒章受章。主著『釧路湿原の聖人・長谷川光二-永遠なる人間の鏡』学文社など多数。
大木文雄(Fumio Ohki)
1949年生まれ。現在、北海道教育大学釧路校教育学部教授、ドイツ文学、ドイツ文化、ドイツ語研究の専門家。ヨーロッパ文化比較の研究者でドイツの「悪魔湿原」の研究で有名。北海道教育大学釧路校付属小学校校長など歴任。釧路新聞「巷論」寄稿者。
盛 厚三(Kouzou Mori)
1947年釧路市生まれ。現在、日本近代文学研究者、『北方人』主宰、『北海文学』同人。1993年に「原野の思索者 長谷川光二」で第二十回釧路春秋賞受賞、釧路新聞「故郷逍遙」連載。著書に『中戸川吉二ノート』『木版彫刻師-伊上凡骨』、『「挽歌」物語-作家原田康子とその時代』など多数。

9月1日(土)、釧路図書館で開催されるシンポジウムについては下記の通りです。https://lib.city.kushiro.hokkaido.jp/ivent/iventinfo.html

「伊藤重行氏・大木文雄氏・盛厚三氏 公開シンポジウム〈釧路湿原の長谷川光二〉〜日本のソロー」講師3名の共著による『釧路湿原の長谷川光二―日本のソロー』志學社の刊行を記念し、湿原の思索家・長谷川光二についての公開シンポジウムを開催します。シンポジウムの他、『長谷川道子の音楽』(ピアノ/独唱/フルートの演奏)もございます。

講師
伊藤重行氏 (九州産業大学 経済・ビジネス大学院教授)
大木文雄氏 (北海道教育大学釧路校教育学部教授)
盛厚三氏 (日本近代文学研究者)
進行
星匠氏 (釧路新聞社
日時
平成24年9月1日(土) (開場12:30)13:00〜16:00
場所
市立釧路図書館 4階 視聴覚ホール
定員
150名 ※申込不要
お問合せ
窓口、またはお電話(42-1411)で
主催
釧路湿原の長谷川光二」実行委員会