作家山下武先生逝く

長い間、都合でブログを休んでおりました。見ていて下さった多くの人たちから励ましの言葉をいただきなんとか再開したく思っている。
14日朝、色々お世話になった作家山下武先生のご子息から電話があり、13日の朝急逝されたという。3ヶ月前の3月7日、28冊目の著書『書斎の憂愁』の出版記念会が新宿であり、久しぶりにお元気な姿を拝見して安心していた矢先だった。なかなか外出ができなくなったが、29冊目を出したいと意欲を語られておられたのが印象的だった。その時短いスピーチを依頼され、私が「中戸川吉二」や「伊上凡骨」などの文学研究を続けてこられたのは先生の励ましがあったおかげと話した。そのときが、お元気な姿を拝見する最後であったとは…

(左から、出版記念会の山下武先生、荒俣宏氏、紀田順一郎氏)
15日夕方、品川の本立寺で行われた通夜へ行く。急な出来事で参列者が少なかったが、皆と先生を偲ぶ。奥様の話では、13日朝それまで入ったことのない朝風呂で倒れたのという。自ら体を清めたのかもしれない。話は先生の貴重な蔵書のことに及び、絶対散逸しないようにと皆で話す。最後の作品は『日本古書通信』に寄せた一文という。翌16日の葬儀には行けなかったが、その日の朝刊に訃報が伝えられていたので多くの人たちが訪れたに違いない。先生、本当に長い間お世話になりました。