山下武『書斎の憂愁』(日本古書通信社)

山下武先生より、近著『書斎の憂愁』(日本古書通信社)が贈られてきた。28冊目の著書、先日電話もあったが、お元気でなによりである。『日本古書通信』『さんどりあ』などに発表したものがあるが書き下ろしも多い。橘外男に関するものが圧巻、ほかに、書き下ろし〈「愛書家交換会・蚤の市」奮戦記〉を興味深く読む。3月1日、新宿で出版記念会が行われるが、久しぶりにお会いする山下先生や、「参土会」などの皆さんに会えるのが楽しみ。

先週、電車の中で巌谷大四『波の跫音ー巌谷小波伝』(文春文庫)を読んでいた。明治33年、巌谷小波はドイツでベルリン大学に講師として招かれている。同じベルリンに留学した事のある入江達吉のことも出てくる。フリッツ・ルンプが日本に来たとき、入江達吉に会っている。ルンプの父と達吉は、面識があったのだろう。巌谷小波が「シュララッヒヤ」(美術家の気楽会)にも出かけていたというから、画家であったルンプの父と達吉はここで出会ったのかも知れない。小波もベルリンでルンプの父と出会っている可能性もある。ベルリン時代を書いた小波のものを読んでみたい。