『恩地孝四郎ー一つの伝記』のことなど

北海道から帰ってきたが、5月末〆切りの原稿「フリッツ・ルンプ物語」と格闘していた。中断して数年たつが、完結までこぎつけた。何とかメールで原稿の方を送ったが、画像が重く送ることが出来ず、結局6分割して無事送った。ところが、原稿、画像の番号などの修正が多くなり、推敲が必要となり、少し延ばしてもらうことになった。共著での本になるが、刊行は来春、詳しくはそのときに。
その間、7月10日刊行予定の共著『釧路湿原の長谷川光二』に収録する「原野の思索家・長谷川光二」の初校紙が届き、平行して仕事を進める。なんとか校正を今日送って、一段落。
最近、池内紀恩地孝四郎ー一つの伝記』(幻戯書房)が巷の話題になっているらしい。価格は6000円以上で馬鹿高く、とても買えない。恩地孝四郎の版画といっても、実は伊上凡骨がかなり彫っているが、このことが出てくるのだろうか。恩地の師である竹久夢二の版画の摺師平井孝一に直接会い、「夢二の仕事はたしか『山によする』が最初ででなかったか。それ以来夢二のほか恩地孝四郎のものなど伊上凡骨が彫ったものの刷りはたいがい平井さんの所にまわってきた」と青江瞬二郎が『竹久夢二』(昭和45年)に書いているが。

恩地孝四郎―一つの伝記

恩地孝四郎―一つの伝記

まだ、この本を手にとってみたことはないが、PR誌『ちくま』に1996年10月から1998年9月まで24回、2年間にわたって連載した「恩地孝四郎のこと」に、図版など増やして、かなり加筆したものだろう。連載後、単行本になると思っていたが、なんと14年近くもかかっている。連載時に興味深く読んで、それを切り抜いて、自分だけの本を作っている。世界に1冊しかないもの。今考えると、忙しいのに、よくこんなものを作る時間があったのかと思うと、不思議な感じがする。岡崎武志氏、がこの書評を書いている。そうか、「ちくま」に連載したものを、かなり削って加筆したものなのか。ということは、何を削ったのか、読者は気になるかも知れない。
http://mainichi.jp/feature/news/20120530org00m040009000c.html

『一寸』50号を、同人のI氏が贈ってくれた。ありがとうございます。忙しかったのでまだ詳しく読んでいないが、内容はいつものように、興味深々の美術論考がたくさん詰まっている。それにしても、もう50号、わが「北方人」は同じ時期に創刊して、わずか16号、なさけない。