小松伸六ノート⑰ 井上靖と小松伸六

井上靖と小松伸六 井上靖(1907-1991)は、北海道旭川市生れ、京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、昭和25年2月「闘牛」で芥川賞を受賞している。受賞直後、金沢の第四高等学校で教師をしていた小松伸六は、井上…

小松伸六ノート  ちょっと寄り道⑤

文芸評論家佐伯彰一とのこと 佐伯彰一(さえき しょういち、1922~2016)と言えば、文芸評論家として、日本のアメリカ文学者として、あるいは世田谷文学館館長、三島由紀夫文学館初代館長として知られている。しかし、佐伯の後年の昭和、平成時代に残した多…

小松伸六ノート⑯ 水上勉と小松伸六

水上勉と小松伸六 昭和36年7月、『雁の寺』で 第45回直木賞を受賞、弱者に向けられた温かいまなざしで数多くの作品を執筆し、昭和を代表する人気作家といわれた水上勉(みずかみ つとむ 1919~2004)。小松伸六は、文芸評論家としてその生涯を見続けていた。…

小松伸六ノート⑮ 源氏鶏太と小松伸六

源氏鶏太と小松伸六 文芸評論家小松伸六の残した仕事を追うなかで、一番驚いたのは源氏鶏太(げんじ・けいた、1912-1985)の文庫に寄せた「解説」の多さである。その数20冊に及ぶが、まだ確認できないものがあるかも知れない。源氏鶏太は、昭和26年に「英語…

『三上於菟吉再発見ー生誕130周年記念誌』が刊行されました

2月4日は、『雪之丞変化』の作者三上於菟吉が生まれた日で、生誕130年を迎えました。三上が生まれたのは、今の埼玉県春日部市、そこに三上於菟吉顕彰会が発足、このほど生誕130年を記念して、『三上於菟吉再発見ー生誕130周年記念誌』が刊行されました。小生…

小松伸六ノート⑭ 城山三郎と小松伸六

城山三郎と小松伸六 経済小説の開拓者といわれ、いまでも多彩な作品は多くの読者をひきつける城山三郎(1927~ 2007)。城山は、小松伸六の13歳下だったが、その作家としての出発から、不思議な長い交友関係にあり、城山文学を語り続けた。小松伸六は、城山…

小松伸六ノート⑬ 新田次郎と小松伸六

新田次郎と小松伸六 「昭和三十年代の日本の文壇に三つの事件があった。一つは松本清張を頂点とする推理小説の流行、一つは城山三郎を先覚者とする経済小説の出現、そして一つは新田次郎を、そのフロンティアズ・マン(開拓者)とする山岳小説の登場である」…

小松伸六ノート⑫ 五木寛之と小松伸六

五木寛之と小松伸六 昭和42年1月、『蒼ざめた馬を見よ』で第56回直木賞受賞した五木寛之(1932年~)に、小松伸六が初めて出会ったのはいつかわからないが、小松は「私は五木さんに三度ほど会ったことがある。親しくしゃべったのは、「小説現代」の文学風土…

小松伸六ノート⑪  渡辺淳一と小松伸六

渡辺淳一と小松伸六 小松伸六が、北海道生まれの直木賞作家渡辺淳一(1933~2014)を知ったのは、昭和39年から『北海道新聞』の「道新秀作評」を担当していた時であった。この年下半期の道内同人誌秀作で渡辺淳一の「華やかなる葬礼」に評価を与えた。その作…

小松伸六ノート⑩   深田久弥と小松伸六

深田久弥と小松伸六 小松伸六が、『日本百名山』の著者として知られる深田久弥(1903~1971)と出会ったのは、深田が、昭和21年夏に中国大陸から復員し郷里石川県大聖寺町(現加賀市)に移り住んでいたころであった。当時金沢大学の教師をしていた小松は、深…

小松伸六ノート⑨ 松本清張と小松伸六

松本清張と小松伸六 小松伸六が、昭和28年に『或る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞した松本清張(まつもと せいちょう、1909~1992年)の作品解説をはじめて書いたのは、昭和34年5月刊の『松本清張選集/時代小説・啾々吟(しゅうしゅうぎん)』(東都書房)で…

小松伸六ノート⑧  太宰治と小松伸六

太宰治と小松伸六 今も多くの人たちに読み続けられている太宰治(だざい・おさむ、1909~1948)は、40歳で心中自殺するなど波乱の人生を送った作家だが、小松伸六は昭和15年秋に、そんな太宰治の三鷹の家を太宰の中学時代からの友人阿部合成(1910~1972 画…

「パルコ文化を創った八人の装丁本展」

えっ!古本屋で展示会?/第四弾 「パルコ文化を創った八人の装丁展」 京都・10月16日(金)~18日(日)左京区Books Herrinng 東京・11月8日(日)~23日(月)西荻窪 モンガ堂 『北方人』に書誌を連載するかわじ・もとたか氏が「えっ!古本屋で展示会?」…

小松伸六ノート   ちょっと寄り道④

小松伸六が使ったペンネーム「小森六郎」「小森美千代」のこと 小松伸六が『赤門文学』『北国文化』でペンネーム内海伸平を数多く使っていたこは、文学事典等で知られるところである。そこには、小森六郎の名でいくつかの作品を書いているが、その内容からも…

小松伸六ノート⑦ 大佛次郎と小松伸六

大佛次郎と小松伸六 大佛次郎(おさらぎ・じろう 1897~1973)は、『鞍馬天狗』シリーズなど大衆文学、歴史小説、現代小説、ノンフィクション、童話などまでを幅広く手がけた作家で、昭和39年には文化勲章を受けている。小松伸六が大佛の小説とで出合った中…

小松伸六ノート⑥  原田康子と小松伸六

小松伸六ノート 原田康子と小松伸六 昭和60年10月、『北海道文学大事典』(北海道新聞社)が刊行され、小松伸六の項に「文芸評論家として新人発掘の炯眼には定評があり、原田康子の「挽歌」にいち早く注目し」(神谷忠孝)とある。また平成元年10月に『昭和…

富士霊園文学碑公苑に小松伸六の名が刻まれている

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。 昨年11月に再開したブログも、色々と多忙で更新できませんでした。その一番大きな仕事が、『生誕130年記念誌 三上於菟吉再発見』(三上於菟吉顕彰会・編)の編纂、2月4日発行に向けて、…

『北方人』第35号を発行しました

10月15日、『北方人』第35号を発行しました。1年に3冊は出したかったが、今年の2冊目で、次は来年春の予定。なお、目次を下記に乗せた。 ――目次―― 時評/首都ベルリンのコロナ抗議デモ―――――――――――― 大木 文雄(2) 創作/昭和十年生れは損をする(5)―風の…

小松伸六ノート ちょっと寄り道③

小松伸六はいつから、自らを「拾い屋」と呼んだか。 今日の「ちょっと寄り道」は、小松伸六が『文学界』の「同人誌批評」時代の話。 角川書店の編集者として活躍した芸評論家・山本容朗(1930―2013)に、「新人作家の発掘家 浅見淵」(『現代作家その世界』…

小松伸六ノート ちょっと寄り道②

『赤門文学』同人、福田宏年のこと *8月5日、直木賞研究家のK氏より、福田宏年の妻について貴重なご教示をいただいた。一文の文章を訂正する。 昭和30年4月に刊行された、小松伸六主宰の第四次『赤門文學』の同人であった福田宏年(1927~1997)について、気…

小松伸六ノート⑤ 小松伸六と『赤門文學』 その四

第五次『赤門文學』と小松伸六 昭和33年12月の第10号で休刊になっていた第四次『赤門文學』、その2年後の昭和35年4月、第五次『赤門文學』復刊第1号として刊行された。小松は、「編集後記」に「十号まで出した第四次赤門文学が昇天したのは一昨年の十二月、…

小松伸六ノート/ちょっと寄り道①

田辺聖子『続 言うたらなんやけど』、佐藤愛子『晩鐘』の中の小松伸六 文芸評論家小松伸六の足跡を追う中で、意外なものにその名前を発見することがある。まず作家田辺聖子のエッセイ集『続・言うたらなんやけど』(筑摩書房、1976年刊。角川文庫、1981年4月…

小松伸六ノート④ 小松伸六と『赤門文學』 その三

第四次『赤門文學』と小松伸六 再び『日本近代文学大辞典』からの引用だが、「第四次は、昭和30・4~33・12.全10冊。編集は小松伸六。赤門文学会発行。復刊第1号に掲載の駒田信二『瓶の中の世界』はラジオ・ドラマ化され国際放送コンクール、イタリア賞を…

小松伸六ノート③ 小松伸六と『赤門文學』その二

第二次、第三次『赤門文學』と小松伸六 第二次「赤門文學」について、『日本近代文学大辞典』には「昭和23・6、11。全2冊。編集人近代文庫社内、赤門文学編集室。菊池靖と原子公平が旧同人とは別に再刊した。評論や翻訳に新鮮な魅力があり、荒正人、白井健三…

小松伸六ノート② 小松伸六と『赤門文學』その1

第一次『赤門文學』と小松伸六 小松伸六が、戦前の第一次『赤門文學』に、ペンネーム内海伸平の名で数多くの論考を寄せたことは、あまり知られていない。『北海道文学大辞典』には、「釧路生まれ。筆名内海伸平。」とあるが、『日本近代文学大辞典』の小松伸…

小松伸六ノート① 平野謙と小松伸六

平野謙と小松伸六小松伸六の最初の著書は、66歳の昭和57(1981)年2月に刊行した『美を見し人は―自殺作家の系譜―』(講談社)である。それまで、文芸評論家として膨大な仕事を残していたが、一冊も評論集が刊行されなかったのが不思議な評論家でもあった。そ…

『北方人』別冊、「小松伸六年譜」を刊行しました。

はてなブログを休止して2年、1年前に再開を告知して1年が経ったが実現せず、そして今日なんとか自分のためにと、書くことを決心しました。まず、『北方人』別冊「小松伸六年譜」を刊行したことを報告します。そして当分の間、一週間に一度ほどの近況と、時…

明日5月6日から、ブログを再開します。

明日5月6日から、ブログ再開します。これからもよろしくお願いします。

12月9日(日)は三上於菟吉連続講座

12月9日(日)、三上於菟吉連続講座で盛厚三による「三上於菟吉の翻訳家時代」の講演があります 場所:庄和支所1階101会議室(春日部市立庄和図書館(と同じ建物) 時間:14:00〜15:30 当い合わせは、春日部市立庄和図書館(電話048−718−0200)

明日は「みちくさ市」

明日18日日曜日、久々に「みちくさ市」に参加します。ここ数日の天気予報は雨模様でしたが、明日は曇りになりました。間違いなく開催されます。場所はいつもの「花結び」向かいの駐車場。久々なので、皆さんと会えることを楽しみにしています。